差別への向き合い方~親として~
こんにちは。古賀です。
先日、アメリカのボーディングスクールから紹介があった、アメリカのNPO団体UCA主催『Talking to Teens about Anti-Asian Discrimination』と題されたウェビナー(オンラインセミナー)に参加しました。各国でコロナウィルスの蔓延をきっかけに、アジア系住民に対する人種差別的行動が増加していることは、最近ニュースでも目になさっていることと思います。ウェビナーでは、このような世情において親が十代の子供たちとどのように向き合うべきかについて、複数の専門家が話をしてくださいました。特にアメリカで問題となっている差別行動の増加については各国の多くの学校が、あえて『強く対抗する』といった意思表明をしています。アジアからの留学生も多く在籍するボーディングスクールでは、異なるバックグランドの友人と理解しあい、絆を深め、人間的に成長することが、それぞれの学校のバックボーンになっていることは言うまでもありません。
残念ながら実情としては、世間で起こっているネガティブな事象について、あえて親が子どもたちと話をすることは少ないのだそうです。特に他の人種と比べてもアジア系は声を挙げない人種と言われているとの話もありました。そして大人が声を挙げないことで、暗黙の元、差別について「語ってはいけない」或いは「存在しない」ことになってしまい、子どもたちの心の傷が知らぬ間に広がってしまう可能性があることに、専門家の皆さんが危険性を訴えていました。
そうすると、私たち大人はまず何から始めればいいのでしょうか。
・ Bring it up 親から切り出してみるのも構いません
・ Be open 常にオープンな姿勢、気持ちで
・ Be curious and respectful 興味をもち、相手を尊重する気持ちを忘れずに
・ Validate feelings いかなる気持ちにも価値がある
・ Create opportunities for your child to talk 子ども自身が話せる機会を作ろう
そして子どもが自分の気持ちや想いを話している時には、
・ Don’t react 大きく反応しない
・ Don’t judge 評価しない
・ Keep your face neutral/calm 平静な表情を保ち落ち着いて
・ Don’t tell kids and teens what they should or shouldn’t feel どう感じる、或いは感じないべきかについて話す必要はない
・ Just Listen ただ、聴くだけ
「目は口ほどに物を言う」ということわざがあります。子どもの大切な想いや考えを親が判断、選別することのないよう、とにかく率直な対話を重ね、子どもの発信を認めることが、彼らの良好なメンタルヘルスの維持、レジリエンス(心理的回復力)につながるとのお話しでした。
今回は人種差別がテーマになっていましたが、いじめや不登校など日本での身近なテーマに置き換えて考えさせられる、実践的な内容が含まれたとても有意義なウェビナーでした。日本、特に都市圏では多くの外国の方が生活しており、その割合は私たちが学生の時代と比べると圧倒的に増えていると感じます。クラスメイトに外国ルーツのお友達がいることは珍しくないようですね。そんな環境で育つ子どもたち、そしてこれから海を渡ろうとしている子どもたちに向けて、私たちの事前準備プログラムでは、彼らを取り巻く実情を踏まえたテーマに取り組んでいきたいと考えています。
当ウェビナーの録画はこちらからご覧いただくことができます。